癌の患者さんに伝えたいこと

現在のがん治療は、抗がん剤、手術、放射線等が主流です。 
その目的は、「癌細胞がどれだけ小さくなったのか? 何日間生存できたのか?」ということに重点を置いています。よって個々の患者自身のQuality Of Life (どれだけ元気に人生を有意義に過ごしているか) を十分に考えることまでは困難な状況です。

私は、今までがん治療をしていて、その三大治療法の副作用で疲れ果てた患者さんをよくみます。
在宅医療の現場でも「がんの治療はとても辛くてもう疲れたから早くあの世に行きたい」とおっしゃる患者さんも中にはいます。
確かに、抗がん剤をはじめとする手術や放射線治療は身体にとても負担のかかる侵襲的治療法で
気力、体力、食欲があり、家族の支えも十分あるうちはいいのですが、長い間がん治療を続けていると限界に至る患者さんが数多くおられます。

私は単に生きているだけでは仕方がないと思いますし、健康だけでなく、健康プラス楽しさがとても大切だと感じます。 友達や家族の中で過ごしたり、趣味やボランティアをしたり、笑ったり、楽しんだり、感動したり、そういう環境作りを医療側が提案する事も大切ではないだろうか?と思うのです。

私が今見ている食道がんの患者さんで、他の病院で余命2カ月と宣告された方がいます。
当院に来た時余命1カ月で食道ががん細胞でふさがれており、口からの食事ができないため胃にチューブを取り付けてそこから栄養液を入れている状態でした。この方は、緩和ケアとして温熱療法を希望されました。 

痛みもあるでしょう、身体もきついでしょうし、精神的にも辛いと思います。

しかし、温熱療法をすると顔色がピンクに変わり、生気が出て表情が変わってくるのです。

もちろんこの方も、浮き沈みはありますが琉球温熱療法を当院でしている時は、いつも気持ちよく、温熱ベッドの上で眠られるのです。そして当初痛みの強かった肋骨の転移部も大分和らいできたようです。 私はこの温熱療法が癌の末期にとても貢献できていると確信しています。また、この方はビタミンC点滴とチューブからのビタミンC摂取の併用療法を行っており最近では体重が増え、元気が出てきたため早くチューブを抜いて皆と同じ食事がしたいというほど前向きになっています。

がんという病気は難しい病気です。なった人でないと感じることができない辛さがあります。 そのため、患者さん自身のQOLを第一に考えさまざまなアプローチを提案し、その方に合ったベストな方法を決して押しつけることなく行ってゆくことが大切であると考えます。
そして当院が、皆様の闘病生活のお役にたてることを願っています。